何かの本に、

「諦めること」について載っていました。

決めたなら進め、

ダメなら諦めろ、

一番良くないのは

「決めずに先延ばしにすること」と。

諦めるのは悪いことではない、

次の展開に移っていけるから。

 

という文章を読んで、

先日カウンセリングをした

男性(32歳・美容師)のことを思い出しました。

 

彼は人と争いになることを好みません。

温厚な性格だと誰からも言われます。

でも正面きって他人と本音で話すことはないし、

自分で決めるということもないのです。

 

それは妻に対しても同じで、

もめるのが嫌だからという理由で

言いたいことをがまんしてしまいます。

ケンカをして初めて・・

本音を言えて、お互いを

理解しあえることもあるでしょうに、

 

いつの間にか黙ることを覚えました。

 

その彼が恋をしました。

妻とは正反対の開放感のある女性。

何を考えているのかわからない妻に比べて

感情が素直に伝わってくるので

とても彼には新鮮でラブラブな毎日を過ごします。

 

でも、そのうちその彼女の感情的なところが

気になってきました。

機嫌が悪いとふくれる・・

いつも自分中心でわがまま・・

自分をそう振り回す彼女と会うのがつらくなってきました。

 

そうして彼女は離婚を「決める」よう迫ってきます。

 

そうっとしておいてほしい・・

 

そんなとき、彼は気づきます。

何も言わない妻といてホッとすることに。

心の内を見せなくても済む妻と

自分が似ていることを知りました。

妻ももしかすると不器用であり、

表現したくてもできないだけではないか・・

 

そう思うと急に妻がいとおしくなりました。

自分に似合った世界があることに

彼は気づいたのです。

 

決めるのが大変な人もいるのです。

それならそうしなくてもいい生きかたをするのも

ひとつの選択なのかもしれません。

 

白衣プロフィール